【AI入門・後編】 人工知能の技術をやさしく解説

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今回は日本一やさしいAI入門・後編ということで、前回から一歩進んで、どのような技術を使ってAIを実現しているかについて一つ一つ説明していきたいと思います。
また機械学習、ニューラルネットワーク、ディープラーニングといったAIの技術に関する専門用語も今回、説明しています。

●動画でも説明していますので動画派の方はこちらを観てください

またこの記事は前回の記事、「日本一やさしいAI入門・前編」の続きなので、もし見ていない方は下記の前編から見ていただくとわかりやすいと思います。

ではさっそく本題に入っていきます。

AIに使われている技術とは

実はAIに使われている技術の種類はいろいろあります。

そのうちの一つとして第3次AIブーム以前で有名な技術では、人間の専門家の知識を模倣して作られたエキスパートシステムなどが過去にはあったんですが、膨大な知識を扱うためのルール同士が矛盾する問題があったりと、第3次AIブーム以前はうまく実用化できませんでした。

そんな中でも2012年から一番注目されているのは機械学習という分野です。
機械学習とは、人間が自然に行っている学習能力と同様のことをコンピューターで実現しようとする技術のことと前編で説明しましたよね。

で、機械学習は中でなにをやってるかと言うと、まず人間からデータを取得して、そのデータを解析して、AI自身が判断や予測のルールを作ってるんです。
言い換えれば大量のデータからコンピュータ自身が、データの特徴やパターンルールを見つけてるんですね。

今回は現代の主流である機械学習について説明します。

機械学習の種類

次に機械学習を実現させる方法には3種類あります。その3種類とは教師あり学習、教師なし学習、強化学習というものです。

ここではこの3つの学習方法について一つ一つ説明します。

教師あり学習とは

現在機械学習においてもっとも使用頻度が高い方法です。
教師あり学習とは、あらかじめ人間が用意した正解ラベルのついた学習データをAIに与え、そこからルールやパターンを自動で学習させる方法になります。

たとえば猫と犬の画像を見分けるAIを教師あり学習で作りたい場合、あらかじめ猫や犬の写真を用意し、その写真ごとに「この写真は猫ですよ」「この写真は犬ですよ」といったAIが判断できる正解ラベルを人間が貼ります。この写真と正解ラベルのセットのことを教師データと呼びます。

この教師データをまえもって数万単位でコンピューターに読み込ませて判断基準を学習させるので教師あり学習と呼びます。
こうすることにより、学習データにはなかった見たことのない猫の画像を見せられても、今までの教師データを元に分析すると、これは犬ではなく猫だろうなとAIは判断することができます。

実際には、猫の画像を見せたら、この写真は猫である確立が80%で犬である確立が20%ですよと確立で出力することが多いです。

社会での使用例として画像認識、音声認識、自動翻訳などの機能に使われています。

また教師あり学習を実現する手法には分類と回帰の2種類があり、より深く知りたい人はこの2つを調べてみてください。

教師なし学習とは

教師なし学習とは、その名の通り、教師データを与えずに行う学習方法のことです。

正確には教師あり学習と同じく前もって人間がAIに与える学習データ自体はあるんですが、教師あり学習と違ってそのデータに正解ラベルがついていません。

教師あり学習の学習データには正解ラベルがついていましたよね。なので教師なし学習には、正解ラベルがついていない学習データのみを与えるんです。

で、その与えられたデータからAI自身が共通する特徴をもつ同士でグループ分けしたり、データを特徴付ける情報を出力してくれたりします。

ようするに「教師なし学習」というのは、その名の通り「正解」がない状態のデータを学習させ、共通点は機械が自ら見つけていく、というものです。

では、なに使われるのかですが。正解がわからない、または正解のないデータを扱う場合に使われます。

例えば通販サイトの「あなたへのお薦め」のようなレコメンド機能にも使われています。

細かくアンケートとっていたら別ですが、通販サイト側は今あなたが本当に欲しいものは知らないです。
なぜかといえば、あなたはそのサイトで購入しかしていなく、欲しいものアンケートなどは受けてないからです。
なので通販サイトにとって、あなたが本当に欲しいもの=正解データがわからない状態なので教師なし学習を使うわけです。

ではどうやって、あなたにレコメンドしてるかと言うと、まず通販サイトでは過去売買された大量の取引データから、あなたと同じような購買パターンを持つ人たちでグループ分けしていきます。
次にあなたと似ている人たちのグループ内で過去閲覧・購入した商品の中で、あなたが購入していない商品を、あなたにおすすめとして表示しています。

教師なし学習の手順はこんな感じです。これを見るとそこまで難しくないですね!

また教師なし学習を実現する手法には大きくわけて「クラスタリング」「次元削減」などがあり、より深く知りたい人はこの2つを調べてみてください。

社会での使用例としてレコメンド機能以外には、工場での製品の見た目検査での異常検知機能などに使われています。

強化学習とは

強化学習とは、ある状態におけるさまざまな行動を評価し、よりよい行動を自動的に学習する方法のことです。

ようするに強化学習は「ある状態において次にどの行動を取れば正しいか」をコンピュータが試行錯誤して答えを見つけていく方法です。

最近では囲碁・将棋でプロを負かしたAIがこの強化学習手法を採用しています。

たとえば将棋で、飛車を前にすすめたら勝つ確立が80%で、角を斜めに進めたら勝つ確立が20%の場面があったとしましょう。
その場合、強化学習AIはまず確立の高い飛車を進めますが、もしそれで負けた場合は、AIは自分が持っているルールはよくないと考えます。

そしてたとえば飛車を前にすすめる確立を70%に下げ、角を斜めに進める確立を30%にあげようと、より勝てるように試行錯誤します。

これが強化学習における学習です。
はじめに行動の選択肢とその行動が正しいか正しくないか判断する基準に関しては人間が設定しますが、その基準が正しいかをコンピュータはいろんな場面を経験していく中で試行錯誤を繰り返し答えを導きます。

また強化学習は1回だけの行動ではなく、累積で勝てる方法を取ることがあります。将棋で言えば、一手一手ではなくどちらかが詰むまでのトータルで考えるということです。

3つのまとめ

最後に3つのそれぞれ使用パターンのイメージをまとめます。
教師あり学習・・・画像に写っている動物が猫か犬かを即座に判別したい。データの分類。
教師なし学習・・・画像に写っている動物を猫グループか犬グループか馬グループかに分けたい。データを複数に分割したい。
強化学習・・・週末のディズニーランドで一番早く回れる行動パターンを導きたい。行動パターンの最適化。

ちなみにこれら3つの方法以外にも、学習データの一部だけ正解ラベルが貼られている半教師あり学習もありますが、ややこしくなるのでここでは説明しませんので知りたい方は調べてみてください。

ニューラルネットワーク、ディープラーニングとは

最後にニューラルネットワーク、ディープラーニングについて説明します。
まずこの図を見てください。

図の中にある人工知能とは人間と同じ知能をつくる技術のことで、機械学習とは人間が自然に行っている学習能力と同様のことをコンピューターで実現しようとする技術のことでしたね。

次に図の機械学習の中にニューラルネットワークがありますね。このニューラルネットワークこそが機械学習を実現するための技術のひとつなんです。

そしてニューラルネットワークを発展、応用させたものがディープラーニングという技術になります。

なぜニューラルネットワーク、ディープラーニングが数ある機械学習の技術の中でこれほどまでに注目されているかというと、2012年に開催された画像認識コンテストでカナダ・トロント大学がディープラーニングを使ったAIで2位以下を圧倒的に突き放して優勝したことで、今までにない高い精度を実証したからです。

他のチームの正解率が約75%に対して、トロント大学チームの正解率は約85%と実に10%も底上げしたので、ディープラーニングが今までにない画期的な技術だ!と世界中の研究者から注目されたんです。

ちなみにこの出来事から3年後の2015年には約97%の正解率まで高めることができています。

では、そのニューラルネットワーク、ディープラーニングの仕組みについて簡単に説明します。

ニューラルネットワークは下記の図のような人間の脳にある神経細胞をモデルとして作られた技術のことです。

人間の脳には神経細胞いわゆるニューロンが2000億個入っています。このニューロンは人間が感じる視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を処理しています。

たとえば、あなたが目隠しで飛行機の中に連れて行かれたとします。そのとき聴覚でエンジンの爆音が聞こえて、離陸するとともに耳がキーンとしてきます。そして身体に飛行機の揺れを感じます。そこでニューロンは自分が飛行機の中いるんだと感覚で判断してるんです。

このニューロンの動きをヒントにして作られたのがニューラルネットワークというアルゴリズムである。
※アルゴリズムというのは計算方法ややり方のことです

現在のニューラルネットワークは人間の頭の動きの完コピはまだできていませんが、画像や文字など直感的に判断できるようになりました。

次にディープラーニングとはニューラルネットワークの発展版なので、ディープラーニングはニューラルネットワークのニューロンの層を深くすることでより賢く考えることができるようになった技術のことです。

なので機械学習の「ルールやパターンを自動で学習する」といった複雑な思考が必要な部分がディープラーニングで実現できるんです。

1950年代からディープラーニングの基礎となる考えはあったんですが、どうしても計算量が大きくなってしまうので当時のコンピュータの力では計算できなかったのと、階層を深くしたことによって、うまく計算できなかったために当時は流行りませんでした。

だけど現在においてはコンピューターの性能が高くなってきましたので実用化できるまでになったということです。

AI入門・後編まとめ

最後に今回のAI入門・後編をまとめて終わりたいと思います。

まとめ
・機械学習とは、人間が自然に行っている学習能力と同様のことをコンピューターで実現しようとする技術

・機械学習を実現させる方法には教師あり学習、教師なし学習、強化学習の3種類ある

・ニューラルネットワークは機械学習を実現するための技術のひとつ

・ディープラーニングはニューラルネットワークを発展させたもので、より賢く考えることができる


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