近年、日本で爆発的にプレイヤー数を増やしているマインドスポーツ「ポーカー」。
数年前から大手パチンコ会社が参入したり、ネットTVでポーカー番組が放映されたりと日本でも空前のブームとなっています。
ポーカー黎明期の2007年に開催されたAJPC(全日本ポーカー選手権)では、参加者がたった286人でしたが、現在は大きなトーナメントだと5,000人以上が参加しています。
特にSNSやデジタルデバイスに慣れ親しんだZ世代に人気が波及しており、プレイヤーの平均年齢も下がっている傾向にあります。
しかし、日本人プレイヤーのほとんどがポーカーを本業としていないアマチュアプレイヤー。欧米に比べ、ポーカープロと呼ばれる人はほとんどいません。実際、世界賞金ランキングでも日本人最高位は846位という現実...。
そこで今回は、日本人がポーカープロになる方法や年収、資質とはについて徹底解説します。
目次
ポーカープロの定義
ポーカープロと呼ばれる人たちはどうやって“プロ”という称号を手に入れたのでしょうか?
資格やラインセンスを取ったから?
WSOPなどのビッグトーナメントで優勝したから?
一生暮らせるキャッシュを稼いだから?
すべて違います。
実はポーカープロとアマチュアには明確な線引きがされていません。なので、だれでも“ポーカープロ”と名乗れば、ポーカープロなんです。
しかし、やはりそれなりの実力がないと周りからプロとして見てくれませんよね。では、どのくらいの実績を積めば、ポーカープロとして周りが認めてくれるのでしょうか。
下記に現在、世界中で活躍しているポーカープロの種類と、それぞれのなる方法を記載しました。
ライブのトーナメント・キャッシュゲームのプロ
オンラインプロ
YouTuber
ポーカープロ認定試験
スポンサー付きプロ
ポーカーサイト・アプリとプロ契約しているプレイヤーは、一般的にポーカープロと呼ばれています。
スポンサーはポーカーサイトだけではありません。
最近では「m HOLD'EM」事業などポーカーに力を入れている大手パチンコメーカー・SammyとYouTuberのじぇいそる氏がプロ契約を結びました。
いろんなスポンサーがいる中でも老舗のPokerStarsとプロ契約を結ぶことは別格扱いで、スターズのプロ集団「Team PokerStars Pro」は多くのプレイヤーが憧れる存在です。
※日本人では過去に2名だけスターズとプロ契約した実績があります
スポンサーが付くメリットとして、毎月の給与があったり、トーナメント参加費や渡航費、宿泊費をスポンサーが負担してくれます。
※スポンサーや選手によって契約内容は大きく変わります
後述で様々なポーカープロの種類を紹介していますが、このスポンサー付きポーカープロが、プロになる方法として一番難しいでしょう。理由としてスポンサードのオファーが来ないとなれないからです。
まず、世界中のビッグトーナメントで輝かしい実績を残すこと、またはオンラインで突出した成績を残していることは絶対条件です。かつ人格者であり、広告塔として扱いやすく、世界中のプレイヤーとコミュニケーションが取れるなど本当に優れたプレイヤーしかなれません。
ただ近年ではSNSでの知名度も大切です。実際、あまり実績がなくてもポーカー系インフルエンサーをスポンサードする傾向が顕著になってきています。
このクラスのトッププロは、年収は数千万円から数億レベルと言われています。
ライブのトーナメントプロ
トーナメントのために世界中を飛び回るライブトーナメント主体のプロもいます。
トーナメントプロの方が難易度は高く、分散に耐えきれず破産するプロも大勢います。その反面、勝ったときの一発がどでかく、一つのトーナメントだけで何億、何十億も稼ぐプレイヤーもいます。
トッププロのブリン・ケニーは2019年、トーナメントだけで30億円以上($30,303,792)も稼ぎました。
しかし現実、年収数十億円クラスは滅多にいません。
実際のポーカープロの年収は数百万円から数億円までピンキリです。年によってはマイナスになってしまうプロもちらほら...。
実力はもちろん、出場するトーナメントのレベルや賞金額、トーナメントメインかキャッシュゲームメインか、資金力などいろんなファクターによって年収は大きく変わってきます。
トーナメントプロのメリットはやはり知名度が上がること。優勝すれば、ポーカー系サイトやSNSで取り上げられるので、有名になりたい方はトーナメントプロを目指すのが良いでしょう。
しかし、トーナメントプロでも普段はキャッシュゲームをプレイしているパターンがほとんどで、手堅く勝てるキャッシュゲームが大きな収入源になっています。と言うことは最低でもキャッシュゲームで勝てるレベルじゃないとライブポーカープロにはなれません。
グラインダー
反対にキャッシュゲームメインでトーナメントはマレというポーカープロもいます。一般的には“グラインダー”と呼ばれています。
彼らは自分の身の丈に合ったテーブルまたはフィッシュのいるテーブルで、多い人で毎日10時間ほどプレイします。トーナメントよりキャッシュゲームの方が安定的なので、トーナメントプロより人数が多いのも特徴。
グラインダーはだいたい一つのエリアを拠点としています。マカオ、ラスベガス、マニラあたりがグラインダーに人気の地域です。
ちなみにフィリピンのカジノはレートが安いですが、その分、物価も安いので、フィリピンでグラインダーとして生活している日本人も多くいらっしゃいました。なので、バンクロールに余裕がない人はフィリピンから攻めてみるのもいいかもですね。
グラインダーの生活が気になる人には、グラインダー生活を15年以上続けているじぇいそる氏の著書をおすすめします。
オンラインプロ
オンラインプロとは、オンラインのポーカーサイト・アプリで主戦場としているポーカープロのことです。
オンラインポーカーはライブより難易度は高いですが、複数のテーブルに参加できる点とゲームの消化スピードが早い点から実力のあるプレイヤーにとっては一番稼ぎやすい環境です。
もちろん、ライブトーナメントに参加しているオンラインプロもたくさんいます。オンラインプロは稼ぐ主体がオンラインであるということですね。
中にはライブには一切顔を出さないため名前が知られていない年収数億円クラスのオンライン専業プロもいます。
YouTuber
令和に入って日本でもポーカー系YouTuberが台頭してきました。
日本ではチャンネル登録者数70万人越えの世界のヨコサワチャンネル、パチンコメーカーのサミーとプロ契約したじぇいそるチャンネルが有名です。
YouTuberとしての稼ぎもあるので、ポーカー一本より生活が安定するメリットがあります。
しかし、その一方、万単位の登録者数を獲得しているポーカー系YouTuberは現在、指で数えられる程度で、生活できるレベルの収入を得るのが非常に厳しい世界でもあります。
ポーカープロ認定試験
上記でラインセンスを否定しましたが、実は2021年11月からプロポーカー協会が主催しているポーカープロ認定試験で、三次試験を突破するとプロライセンスを取得できます。
といってもトーナメントを勝ち抜くだけでライセンスを取得できるので、本当にポーカープロと名乗っていいのかわかりませんが。
ちなみにこのライセンスを取得すると、プロポーカー協会からトーナメント情報や企画の配信を受け取れたり、取得者のみが参加できる高額プライズ付きポーカーツアーに参加することができます。
まだ発足したばかりなので今後の発展に期待しています。
厳しい?日本人がポーカープロになるには
ここからは日本人がポーカープロになる方法をロードマップ形式でご紹介します。
②オンラインポーカーで練習
③ポーカーをしやすい生活環境にする
④キャッシュゲームで経験を積む
⑤バンクロールが貯まったらトーナメントへ挑戦
①初心者向けの学習からスタートする
まずは正しい方法でポーカーの学習をスタートさせます。闇雲にオンラインポーカーを始めたり、不適切な本を読んだりは上達への遠回りになってしまいます。
以下の記事に初心者が中級者以上になるための具体的な方法を示しているので参考にしてみてください。
②ポーカーをしやすい生活環境にする
あとはポーカーをしやすい生活環境に変えることも重要になってきます。
正直、サラリーマンだと時間的制約が多いため、海外へ行きづらいというハードルがありますので。
そのためには副業をすることを強くおすすめします。副業で安定した収入があれば、本業のポーカーでマネープレッシャーに負けにくくなり冷静な判断ができますし、なによりも会社に縛られる生活から解放されます。
ブロガー、アフィリエイター、ライター、コンサルタント、翻訳家など多くの副業がありますが、経験がなければアフィリエイターがおすすめ。
特にInstagramやTwitterを使ったアフィリエイトは、世界中を飛び回っているポーカープレイヤーと非常に相性がいいと思います。異国の地を旅しているのも同然なので話題に事欠かないですからね。
③キャッシュゲームで経験を積む
オンラインで慣らしたあとはもう直接、海外カジノに行って、キャッシュゲームで経験を積むことをおすすめします。オンラインである程度勝てるプレイヤーなら、ライブキャッシュゲームの低レートテーブルでは勝てると思います。
日本のアミューズメントカジノという手もあるのですが以下のようなデメリットがあります。
・トーナメントを何回も参加していると意外とお金がかかる
・プライズゲットまで時間がかる
・海外挑戦が遠回りになる
なら直接、海外言っちゃえばいいのかなと個人的には思います。
もちろん、アミューズメントカジノは日本語なので安心できるし、ポーカー仲間ができやすいなどのメリットもありますので、初心者の内は行っても損はありません。
海外は近場だとフィリピン→韓国→マカオの順にレートが安いですので、フィリピンのマニラから挑戦してもいいかもですね。
以下は初めて海外カジノに行ったときの記事ですので参考にしてみてください。
⑤バンクロールが貯まったらトーナメントへ挑戦
オンラインやライブキャッシュゲームでバンクロールが膨らんできたら、小さめのトーナメントから挑戦してみましょう。バンクロールに合わせて徐々にトーナメント規模を大きくしていくことがおすすめです。
これ以後は...もう実力次第になります。
ポーカーの勉強はずっと続きますので、プレイ→学習→プレイ→学習...とサイクルするのが理想です。
ポーカープロに求められる資質
ポーカープロとして生きていくということは、常に破産と背中合わせで生きていくことを意味します。正直、生半可な心の持ちようでは生き残れません。
なので、ここではポーカープロに求められる資質をご紹介します。
適切なバンクロール管理ができる
メンタルコントロールができる
社会的信用への対処ができる
目標を定めて達成していく
常に学ぶ姿勢がある
実力はあって当たり前で、その上、ポーカープロとして生きていくなら常に勉強しなければいけません。
特にテキサス・ホールデムは競技者数が多いこともあり、日進月歩で技術・理論が更新されています。技術を学ぶだけではなく、心理学や最近の流行りプレイを研究することも大切です。
適切なバンクロール管理ができる
バンクロール管理(資金管理)に関して以下の事柄を常に意識する必要があります。
・自分があとどのくらいで破産するか
・自分の実力と資金に対して適切なバイインのゲームを選択しているか
・強烈な下振れが起こっても耐えうるか
このようにポーカープロは、どんなことが起きても破産しないように常にバンクロール管理能力が必須です。その他、ポーカーで破産しても最低半年は生活できる生活費を備えているかも大切。
キャッシュゲームで必要なバンクロールは人によって意見がわかれますが、キャッシュゲームはバイイン額の20~40倍、トーナメントは100倍と言われています。しかし、マネープレッシャーに負けないためには、これらの倍はあった方がいいでしょう。
メンタルコントロールができる
ポーカーはティルトをしやすいゲームです。
誰にでもあるバッドビート、ダウンスイング(下振れ)が起こったとしても、感情をうまくコントロールできる能力がとても大切です。ポーカープロの中には、あえてメンタルコントロールを鍛える時間や専門機関へコストを払っている人もいるほど。
その他にも観察力、分析力、忍耐力、度胸、柔軟性も重要なメンタル資質と言えます。
海外生活に順応できる
ライブを主体とした生活を送るならカジノが合法な国に一定期間、滞在しなければいけません。
ということは、カジノで公用語の英語でのコミュニケーション能力、時差ボケ対策、食生活など海外生活への順応能力が必要です。
社会的信用への対処ができる
日本では、ポーカープロの地位は低く、社会的信用はほぼ0です。
賃貸を借りたり、クレジットカードの作成で大きなハードルとなるでしょう。
そういった場面でも対処できる能力が必要です。たとえば、法人化したり、飲食店を立ち上げて信用を作る人もいます。
また、家庭を持っている人なら奥さんからの理解も必要になってきます。反対されてままだとストレスとなり、ポーカーに悪影響が出てくる恐れがあります。
まずは社会的信用や家族からの理解をクリアしたのち、ポーカーに集中するのが理想的です。
目標を定めて達成していく
ただ闇雲にプレイするだけはなく、目標を定め、一つ一つ達成していくことが大切です。
そうすることでモチベーションの保持や自分の実力の把握、周りとの比較・立ち位置の認識などができるようになります。
コツは短期間の小さな目標を立て、そのあと長期間の大きな目標を立てること。小さな目標をいくつかこなしていく内に、大きな目標を達成できるのが理想的。
世界のトップポーカープロたち
ここでは世界の最前線で輝かしい実績を残しているトップ中のトッププロを3名ご紹介します。
Daniel Negreanu(ダニエル・ネグラヌ)
ダニエル・ネグラヌは1974年7月26日生まれのカナダ出身のプロポーカープレイヤーです。
抜群のコミュニケーション能力と卓越したリーディング力を武器に、生涯で約62億円($46,183,816)を稼ぎ出しています。
驚くべきことに高学歴が多いポーカー業界において、ネグラヌは高校を中退してポーカープロになった人物です。その雑草魂やコミカルなキャラから多くのポーカープレイヤーに愛されています。日本人にも人気のあるプレイヤーですね。
YouTubeに多くの彼のプレイ動画が上がっているので、観たことない人はぜひ観てみてください。
Bryn Kenney(ブリン・ケニー)
ブリン・ケニーは1986年11月1日生まれのアメリカ出身のプロポーカープレイヤーです。
2022年時点の彼の生涯獲得賞金はGlobal Poker Index(GPI)で世界No.1の約77億円($57,204,861)!
※Global Poker Indexとは世界中のプレイヤーのライブトーナメント成績をランク付けしたサイトのこと
元々、マジック・ザ・ギャザリングのプレイヤーでしたが、ポーカーにシフトしてからは、優れた才能を発揮し、WSOP優勝など輝しい成績を残しています。
最も注目されたのは、トリトン・ミリオンという賞金世界最高額トーナメントで驚愕の約27億円(£16,890,509)を獲得したときです。
Erik Seidel(エリック・サイデル)
エリック・サイデルは1959年11月6日生まれのアメリカ出身のプロポーカープレイヤーです。
2022年時点の彼の生涯獲得賞金は約53億円($39,777,266)ですが、それ以上に30年に渡るポーカー歴と輝かしい実績から2010年にポーカーの殿堂入りを果たしました。
実は彼は、ポーカー映画「ラウンダーズ」に出てくる1988年WSOPファイナルテーブルヘッズアップのジョニー・チャンの対戦相手。昔も今も結果を出し続けている稀有なプレイヤーです。
詳しい世界プロポーカー賞金ランキングは以下の記事に記載
ポーカー界から退場していくプロたち
普段、私たちはネットなどでポーカープロの輝かしい姿しか見ていません。しかし、その光の裏では数多くのプロたちがポーカーの世界から身を引いています。
ポーカープロを目指す人たちは、その事実をしっかり見つめ、自分が足を突っ込む世界の現実を理解する必要があります。
ですので、ここではポーカープロにありがちな引退理由をご紹介します。
ポーカープロが増えすぎた
他のギャンブルに手を出した
家庭環境が変わった
コロナにより海外から強制退場
時代に付いていけなくなった
ポーカーの技術は日々進化していますが、周りが強くなり、実力が付いていけなくなって引退するパターンはよくあります。
非常に恐ろしいことですが、昔の強者が現在のフィッシュになっていることも多々あり。
ポーカープロが増えすぎた
昔のWSOPは数百人規模でしたが、今では毎年数千人のプレイヤーが参加しています。そして、プレイヤー数は年々増えているそう。
そうなると、キャッシュゲームでもフィッシュの取り合いが加熱し、稼ぎが削られ、いつの間にかバンクロールに致命傷を負ってしまうこともあります。
他のギャンブルに手を出した
ポーカー以外のゲームに手を出してバンクロールを溶かすポーカープロも大勢います。
特にバカラは非常に中毒性のあるゲームで、ポーカープレイヤーでもハマってしまう人が後を絶ちません。
家庭環境が変わった
元々、自分一人なら生活できるレベルの年収しか稼いでないプレイヤーが結婚して、家族を養えず引退するケースも見受けられます。
コロナにより海外から強制退場
2020年からパンデミックを引き起こしたコロナウイルスの影響で帰国するポーカープロが続出。特にライブ専業の日本人プロはカジノがない日本では稼ぐ手段がないため引退される方もいました。
ポーカープロになる方法のまとめ
今回は日本人がポーカープロになる方法について解説してきました。
ポーカープロになるためには膨大な時間を犠牲にして、誰よりも努力する必要があることがわかりましたね。
“ポーカーが好き”だけで本当にやっていけるのかを真剣に考えてから挑戦することが大切です。
だけど一度きりの人生なので、本気でポーカーで生活していきたいと心底望んでいれば挑戦してもいいと思います!
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