この記事はメタバースについて以下のことを知りたい方に向けた記事です。
・メタバースは流行るのか知りたい
・なぜメタバースは注目されているのか知りたい
・メタバースが普及する前にやっておくことは?
旧Facebook社がMetaへ社名変更したことをきっかけに、近年ではメタバースの注目度が高まっています。しかし「メタバースは失敗する・どうせ流行らない」などと言われることも多く、懐疑的な目で見ている人も多いです。
それもそのはずで、2023年時点ではまだまだ市場規模が小さく、盛り上がっているとは言えないでしょう。とはいえ、メタバースに参入する企業は増えています。
「メタバースに参入する企業は増えているのに、なぜメタバースは失敗すると言われてるの?」と疑問を持った方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、メタバースが失敗する・流行らないと言われている理由と、メタバースの将来性について解説します。今後メタバースとどう向き合っていくか気になっている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
メタバースとは?

メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間のことです。現実世界と同じ時間軸で稼働しており、世界中のユーザーと相互にコミュニケーションを取ることができます。
英語では「Metaverse」と表記され、「meta(超)」と「Universe(宇宙)」を組み合わせた造語が起源とされています。1992年にニール・スティーヴンスンが発表した小説『スノウ・クラッシュ』にて初めて使用されました。
ユーザーは、メタバース内で自身の分身となるアバターを操作してさまざまな活動を行います。
例えば以下のとおりです。
・仮想空間の中を探検する
・他のユーザーとコミュニケーションを取る
・音楽イベントやセミナーに参加する
・ゲームを自作し、プレイする
・動画コンテンツを作成し、他のユーザーに視聴してもらう
・オンライン会議をする
すでに現実世界やインターネット上で行われている活動を、メタバース上で行えるようになります。プラットフォームによっては、NFTアイテムの取引を通じて、ビジネスとしてメタバースを利用することも可能です。
メタバース空間で一日を過ごすユーザーも存在し、地球以外のもうひとつの世界として認識され始めているといえるでしょう。
さらにメタバースの概要を深く学びたい方は以下も参考にしてみてください。
メタバースの失敗例「セカンドライフ」とは?

セカンドライフとは、2003年にアメリカのLinden Lab社からリリースされた3Dの仮想空間プラットフォームです。リリースした時代が早すぎたゲームとして近年再注目されています。
セカンドライフ内の土地や建物、乗り物や家具などのほとんどがユーザーによって作成されている点が大きな特徴です。
また、アバターとして仮想空間に入ることで以下のような体験ができます。
・仮想空間内の散策
・ユーザー同士のコミュニケーション
・イベントへの参加
・ビジネスや経済活動
さらにセカンドライフ内では「リンデンドル」と呼ばれるゲーム内通貨が流通しており、それを使ってさまざまな取引ができるような仕組みとなっています。リンデンドルは米ドルと交換が可能なため、ゲームをして稼ぐことも可能でした。
一時期セカンドライフは日本でもブームになり、大手企業も参入を図っていたことも。しかし、サービスは長くは続きませんでした。その理由として挙げられるのが「通信速度の遅さ」です。
2000年代はまだスマホなども普及しておらず、現在と比べると通信速度はかなり遅かったと言えます。そのため、セカンドライフで同時接続できる人数は数十人が限界で、グラフィック等も満足のいくものではありませんでした。
多くのユーザーと仮想空間で交流できる点がメタバースの魅力ですが、それが不可能だったセカンドライフのユーザーは、時間とともに離れていっています。アイデアや仕組みは画期的であったものの、セカンドライフは時代が早すぎたゲームと言えるでしょう。
しかし、メタバースという言葉が注目され始めた2021年頃から、セカンドライフを想起するユーザーも多く、人気のゲームであったことがうかがえます。現在メタバースがこれほどまでに注目されているのは、セカンドライフのおかげと言える部分もあるかもしれません。
メタバースが失敗する・流行らないと言われている理由
ここではメタバースが失敗する・流行らないと言われている理由を5つ紹介します。
・セカンドライフでの失敗
・VRデバイスの普及が進んでいない
・詐欺やハッキングのリスクがある
・コミュニケーションが取りにくい
それぞれ順番に確認していきましょう。
メタバースがよく理解されていない

そもそもメタバースがわからないという方も多いです。
メタバースについて学ぼうとすると、専門用語や見慣れない単語が並び、むずかしいという印象をもつ方もいるでしょう。そのため、メタバースは一般には普及しないと考えられています。
人はわからないものに対して嫌悪感を示すものです。一般的に理解されないメタバースが普及するには、初心者でもわかるように噛み砕いて説明する必要があると言えるでしょう。
また、「なんだかよくわからないけど、楽しそう」という印象を持ってもらうこともメタバースの普及には効果的と考えられます。
セカンドライフでの失敗

セカンドライフの失敗から、メタバースが流行らないと考えられています。
メタバースの先駆者であるセカンドライフのサービスは長続きすることなく、衰退してしまいました。しかし、この衰退はサービス内容ではなく、通信や機器のスペックなどに問題があったと指摘されています。
情報技術の発展した現代では、セカンドライフのような失敗はないと考えられるでしょう。仮にメタバースが失敗した場合は、技術やスペック不足以外の部分が原因と言えそうです。
VRデバイスの普及が進んでいない

VRデバイスの普及は進んでいないのが現状です。そのため、ユーザーがメタバースを本格的に楽しめないと言われています。
メタバースを十分に楽しむには、VRデバイスはある程度スペックの高いものが必要で、購入には数万円ほどかかります。家庭用VRデバイスで人気のMeta Quest2は最低価格が6万円ほどです。
Meta Quest2はメタバースの体験に問題ないスペックですが、決して安くないため、まだまだVRの普及には時間がかかると言えるでしょう。
詐欺やハッキングのリスクがある

メタバースには詐欺やハッキングのリスクがあると言われています。
結論から言うと、残念ながらメタバースで詐欺やハッキングはあり、利用するには注意が必要です。
とはいえ、詐欺やハッキングのリスクがあるのは現実世界でも同じです。振り込め詐欺や投資詐欺など、さまざまなものが挙げられるでしょう。
詐欺やハッキングに遭うリスクを下げるには、知識を身に付けるのが効果的で、メタバースでもそれは同じように言えます。ユーザーが適切な知識を身に付け、メタバースを楽しめる土壌をつくる必要があるでしょう。
コミュニケーションが取りにくい

メタバースではコミュニケーションが取りにくいといった理由も挙げられます。
メタバースでのコミュニケーションは基本的に「テキスト」と「音声」です。もちろん、それらを使うだけでは、現実世界のコミュニケーションに劣ってしまうのは明白でしょう。
そこで活用できるのがVRです。VRゴーグルを活用すれば、メタバース内でのコミュニケーション体験を向上させ、あたかも現実世界で話しているかのような感覚になれます。
VRゴーグルはまだ一般に普及するにはコストが高すぎるという問題がありますが、今後は技術向上によって多少は手に取りやすい価格になると予想されています。
メタバースには将来性があると言える理由
メタバースは失敗するという声も多いです。しかし、メタバースには将来性があると言えます。ここではその理由について確認していきましょう。
・ネット回線やデバイスの性能が高まっている
・市場規模が拡大している
・生活様式の変化が起こっている
・メタバースとつながりの深いNFTが注目されている
企業が参入している

メタバース領域にはすでに企業の参入が進んでいます。アメリカの大企業FacebookがMetaに社名変更し、メタバース事業に本格的に取り組む姿勢を見せたできごとは、今でも記憶に新しいです。
Facebookの社名変更をきっかけに、メタバースの認知度は一気に高まり、参入を表明する企業が増えました。
例えば、以下のとおりです。
・NIKE(ナイキ)
・Microsoft(マイクロソフト)
・Sony(ソニー)
・Panasonic(パナソニック)
国内外問わず、多くの企業がメタバースへの参入を始めており、メタバース市場への関心の高さがうかがえます。
ネット回線やデバイスの性能が高まっている

ネット回線やデバイスの性能が高まっている点も、メタバースの将来性につながっています。
かつて、メタバースサービスを展開していたセカンドライフは、ネット回線やデバイスの容量不足などが原因で衰退しました。画期的なアイデアがありながらも、技術が追いついていなかった状態です。
しかし、2003年と比較して遥かに技術が向上した令和の時代では、ユーザーが自由度高くメタバースを楽しめます。回線やデバイスの性能が向上しているため、メタバースが普及する土壌が整っていると言えるでしょう。
市場規模が拡大している

メタバースの市場規模は拡大しています。
現時点での市場規模はまだまだ小さく、参入企業が増えているものの、市場に資金が集まっていない状態です。しかし、メタバース領域は今後数年で大きく成長し、拡大することが予測されています。
総務省の「令和4年版 情報通信白書」によると、世界のメタバース市場規模は2021年に4兆2,640億円だったものが、2030年には78兆8,705億円まで拡大するとのこと。
現在注目されているメディアやエンターテイメントだけでなく、教育、小売などさまざまな領域での活用が期待されています。
上記のような予測のとおり、メタバース領域は成長市場と言えるでしょう。
生活様式の変化が起こっている

近年起こっている生活様式の変化も、メタバースの将来性によい影響を与えると言えます。
2020年のコロナ禍をきっかけに、テレワークやオンライン会議などが注目され、それらを取り入れる企業は増えました。コロナの落ち着きとともに、その後は出社をメインとする方針に戻す企業もありましたが、いまだにテレワークやオンライン会議で業務を進める企業も多いです。
そのため、テレワークメインで仕事するという生活様式は、一般的になりました。
メタバースの活用で、テレワークやオンライン会議の生産性はさらに上がることが期待できます。実際にメタバースで、チームメンバーとともに作業や打ち合わせをするという事例は少なくありません。
さらに技術が高まり、一般的な認知度を獲得すれば、メタバースはより普及していくでしょう。
メタバースとつながりの深いNFTが注目されている

メタバースとともにNFTの注目度も高まっています。
現在ではNFTアートが世界的にトレンドとなっており、仮想通貨を使ってNFTの取引が日常的に行われています。
NFTはメタバースとも相性がよく、メタバースの魅力をさらに高めることが可能です。
・NFT化されたアイテムをメタバースで取引する
・NFT化されたメタバースの土地を購入する
・NFT化されたアートをメタバースに展示する
上記のような活用方法があり、現在でもNFTを活用したメタバースに関心が集まっています。
なお、NFTについてさらに学びたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
メタバースが普及する前にやるべき3つのこと
最後にメタバースが普及する前にやるべきことを3つ紹介します。
メタバースに関する本を読む
1つ目はメタバースに関する本を読むことです。
メタバースに関する情報を先に入れておくことで、メタバースの時代がやってきても柔軟に対応することができるでしょう。メタバースについてまったくわからない初心者であっても、やさしく解説している本はたくさんあるので、まずは本を読むことから始めることをおすすめします。
とはいえ、メタバースに関する本は2021年以降かなり種類が増えてきており、どの本がいいか迷う方もいるでしょう。以下の記事ではメタバースを学ぶのに、おすすめの本をランキング形式でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
メタバースに関する映画・アニメ・ドラマを観る
2つ目は、メタバースに関する映画・アニメ・ドラマを観ることです。
メタバースに関する本では見慣れない単語に苦労し、どうしても学ぶのが厳しい場合もあるでしょう。そんな方にはメタバースの映画・アニメ・ドラマを観るのをおすすめします。
昔のものから最新のものまで、メタバースを舞台とする映像作品は幅広くあるため、自分にあった好きな作品でメタバースについて学ぶことが可能です。また、短いドラマやアニメまであるので、万人におすすめです。
以下の記事ではメタバースに関する映画・アニメ・ドラマを20個まとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
メタバースを実際に体験してみる
3つ目はメタバースを実際に体験してみること。
本や映画で知識を得たら実際にメタバースを体験してみましょう。実際に触れてみることで、リアルな体験からたくさんのことを学べるはずです。
・メタバースのやり方
・仮想通貨の買い方
・仮想通貨の送金方法
・NFTの基本的な知識
メタバースをやってみるだけで上記のようなことを学べます。体験自体は無料でできますので、ぜひ気軽に始めてみてください。
メタバースの始め方は以下の記事でまとめています。
メタバースが失敗する・流行らないと言われる理由まとめ
今回は、メタバースが失敗する・流行らないと言われる理由と、メタバースの将来性について解説しました。
まだまだ市場規模の小さいメタバースですが、今後数年で大きく成長し、拡大することが予測されています。今のうちにメタバースに関する知識を深めておくと時代の波に乗っていけると言えるでしょう。
最後に本記事の要点を確認します。
・メタバースは一般層にはよく理解されていない
・VRゴーグルはコストが高い
・メタバースの市場規模は2030年には78兆円
・メタバースはNFTとも関連が深い
IT企業などの取引形式12種類については、以下の記事で詳しく解説されています。合わせてご確認ください。
参考:基礎から学ぶメタバース ~なぜFacebookは巨額の投資を決めたのか |株式会社パラダイムシフト
以下の記事も合わせて読めば、メタバースの知識をさらに深められます。