この記事では英語のシャドーイングについて以下のことがわかります。
シャドーイングのやり方とその効果
シャドーイングのおすすめ教材
リスニング力、スピーキング力を鍛えるのに『シャドーイング』という練習方法があります。おそらく、見よう見まねでやっている方もいると思います。
シャドーイング自体は難しいものではないのですが、正しいやり方をしないと効果が得られず失敗しているケースもお見受けします。
なので今回は英語でのシャドーイングのやり方・効果・おすすめ教材をわかりやすく解説します。
この記事を読めば、今日から正しいシャドーイングのやり方が身につき、飛躍的に英語力を伸ばすことができるでしょう。
目次
英語シャドーイングとは
シャドーイングとは、英語の音声データを聴き、その音声に1〜2語(または0.5〜1秒)遅れて音声データとまったく同じ言葉を発音する練習法のこと。けして一文を全部聴いたあとに発音するのではなく、聴いたらすぐに発音するのが肝です。
あなた:(1〜2語遅れて)The idea is accepted across all generations.
影(shadow)のように付いていくので、英語で『shadowing』と言います。
元々はプロの通訳者の学習方法でしたが、リスニングとスピーキングを同時に鍛えられるので現在、多くの英会話スクールでも導入されている注目の英語学習法です。
英語シャドーイングのやり方
では実際にシャドーイングのやり方をご説明します。まずは以下の手順を見てください。
(2) 英文を見ながら音声を聴く
(3) 英文を見ながらシャドーイングする
(4) 英文を見ずにシャドーイングする
※英語の習得度の高い人、またはシャドーイングに慣れている人は、いきなり3〜4番からスタートしてもOK
「え、たったこれだけ?」と思われた方も多いと思います。
そうなんです、手順自体は4つだけなんです。なので、ちゃんとしたやり方を学べば初心者にだってできちゃいます。以下の手順解説を読んで、ぜひ実践してみてください。
(1) 題材を選んで英文の意味を理解する
まずは題材を選びます。テキストや英語字幕の映画、YouTubeなんでも構いません。初心者の方はシャドーイング専用のテキストでスタートするのが一番おすすめ専門書なら優しい短文からスタートできますしね。
※テキストについては後述の『シャドーイングのおすすめ教材・アプリ』で紹介しています
次に題材の英文をしっかり読んで文法、意味を理解しましょう。内容を理解せずにいくらシャドーイングしても、その英文を自分のものにすることはできないのでしっかり精読しましょう。
英文の長さは、まずは短い1センテンスからスタートして慣れてきたら徐々に長くしていきましょう。
(2) 英文を見ながら音声を聴く
英文の内容をよく理解できたら、英文を見ながら音声を聴きます。目安は1〜3回ほど。だいたいのアクセント、イントネーションを掴めたらOK。
※アクセントとは単語の中で最も強調する箇所のこと。「pencil」なら「pe」の部分を強調するので「e」の上にアクセント記号を置きます
※イントーネションとは文章全体においての声の上げ下げ(抑揚)のこと。つまり、アクセントは単語で一番高く読む箇所、イントネーションは文章全体の抑揚を表します
特にアクセントやイントネーション、リズムを強く意識します。そうすることにより、単語ごとの正しい発音方法を理解できます。
この際、マンブリングという聴いた音声を小さな声でつぶやく発声法をするとより効果的。
(3) 英文を見ながらシャドーイングする
英文のイントーネーションを掴めたら、次は英文を見ながらシャドーイングをします。目安は10〜20回ほど。だいたい音声から1〜2語遅れ(または0.5秒〜1秒遅れ)で発音します。
はじめは言葉に詰まったり、リズムが変になったりと音声通りにできないのは当たり前。まずは何度も繰り返してスラスラ読めるようし、その次にアクセントやイントーネションを正していきます。
慣れてくれば音声と同じスピードで音読できるようにします。何十回も繰り返していけば、きっと音声通りに音読できます。
(4) 英文を見ずにシャドーイングする
最後は英文を見ずにシャドーイングしてみます。はじめは難しいですが慣れてくれば余裕になります。
ここまで来れば外でも練習可能。私はマスクをして小さな声でシャドーイングしています。
英文に発音も完璧でぴったり付いていけるようになれば、その英文はようやく“いつでも使える英語”になったということです。
あとは繰り返すだけ
1つの英文を完璧に話せるようになったら、また違う英文でも上記のことを繰り返します。そうすると語彙力が増え、いつの間にかスピーキング無双になっていることでしょう。
練習量について
短い時間でもいいので毎日繰り返すことが大事。外でも練習できるので習慣化はしやすいと思います。
まずは1日10分を目標にして徐々に練習時間を伸ばしていくのが良いでしょう。最終的には1日1時間ほど練習時間が取れれば、格段に成長スピードがUPします。
英語シャードイングで上達するコツ
最低限の英文法・英単語を先に習得しておく
シャドーイングの1番始めに英文の内容を理解するという作業がありましたね。
もし、英文法・語彙力がなければ、英文分析にかなりの時間がかかってしまいます。そうならないために先に中学レベルの英文法・英単語を習得しておきましょう。
英文法なら以下のテキストがおすすめ。私の勝手な判断ですが世界一わかりやすいです。Amazonでもベストセラーになっているテキストなので信頼はできるかなと。
単語帳は以下がおすすめ。理由は実力に応じてステップアップできるから。この本を丸1冊覚えたら同じシリーズの「Vol2 中級の3000語」へステップアップでき、vol.4まで到達すると最終的には12000語をマスターできる仕様です。
音声変化を理解する
音声変化という単語の組み合わせで“発音が変化するルール”があるということに注意が必要。映画を観てるとネイティブの話してる英語が全部つながって聞こえたり、歌詞を見ながら音楽を聴いていても歌詞と音声の発音が違うときありますよね。あれです。
たとえば、アナと雪の女王の主題歌でもある「Let it go」。そのまま発音すると「レット イット ゴー」ですが、歌を聴いてみるとどうしても「レリゴー」と発音しています。これはラ行化という音声変化ルールが加わってるからなんです。英語の音声変化のルール自体は「脱落、弱形、連結、同化、ラ行化」の5つくらいしかないので早めにマスターしておきましょう。
ちなみに音声変化は日本語にもあります。水族館は正しく読むと「すいぞくかん」ですが、多くの人が「すいぞっかん」と発音していますよね。これも立派な音声変化なんです。
音声変化のルールの理解は以下の本がおすすめ。間違いなく聴き取れる数が格段にUPします。
どの国の英語で練習するか1つに決める
世界中で話されている英語には、国や地域によって方言的なアクセントやイントーネションの違いがあります。たとえば、アメリカ英語やイギリス英語など。
ここで問題なのが同じ英文でも地域によって大きくアクセントやイントーネションが変わってしまうこと。なのでつまみ食い的にいろんな地域の英語でシャドーイングをしていると混乱してきます。
なので、まずはアメリカ英語と決めたら、アメリカ英語の発音を完璧に理解するまで他の国の英語には手を出さないことです。
“ながら学習”をする
慣れてくれば音声データさえあれば、いつでもシャドーイングできます。せっかくなので散歩中、家事中、通勤中などにもガンガン取り入れていきましょう。
外ではマンブリング(小さい声でつぶやくシャドーイング)や、サイレント・シャドーイング(頭の中で音声化するシャドーイング)がおすすめ。
自分に合った教材を選ぶ
あなたの実力に合った教材を選びましょう。あまりに難しい教材を選ぶと挫折してしまう可能性が高くなります。
おすすめはシャドーイング専門のテキストで学習すること。テキストだと、まずは優しめの短文からスタートしてステップアップできます。おすすめの教材については後述の『シャドーイングのおすすめ教材・アプリ』で紹介しています。
自分の音声を録音する
はじめは抵抗があるかと思いますが、自分の音声を録音することで、どこがうまく発音できていないかを一発で把握できます。弱点を知れば、あとはそこを集中して練習すればいいだけ。
昔はわざわざカセットテープに吹き込んでいましたが、今はスマホの録音機能があるので楽です。
発音する間隔を空ける
はじめは0.5〜1秒遅れで発音していましたが、慣れてきたら2〜3秒遅れの発音に挑戦してみましょう。
そうすることで“文章を覚える”という作業を挟まなくてはいけなくなります。この“覚える”という作業がよりシャドーイングの効果を高めてくれます。
だれかに話しかけている情景を思い浮かべる
だれかに向かって話しかけたり、大勢の前でスピーチしてる情景を思い浮かべると気分ものりますし、いざ実践で使う場合もメンタル負けせずに、すぐに英語を口にできるでしょう。
大きな声で練習する
外で外国人が英語を話すのを聴いてると日本語よりやや大きな声で話してることに気づきます。民族の性格上か、どうしても日本人は声が小さくなりがち。なので発音うんぬんの前に声が小さすぎて伝わらないことも多々あります。
そこで家でシャドーイングするときは、なるべく大きめの声で発声して大きな声を出す練習をしておきましょう。この練習をしておくとフェスティバルなどの周りが騒がしいときに役立ちます。
英語シャドーイングの種類
こちらでは3種類のシャドーイング法をご紹介します。慣れてきたら、ぜひ試してみてください。
注意点として以下3つは別々に行うこと。というのも人間はマルチタスクが苦手なので、すべてまとめてやってしまうとだいたいの人が混乱してしまうからです。
プロソディ・シャドーイング
プロソディ・シャドーイングとは、英文の内容には目を向けず、アクセントやイントーネションなど発音部分に集中して行うシャドーイングのことです。正しい発音を手に入れることを目的としています。
このシャドーイングをすれば、単語ごとのアクセント、文章のイントネーション、母音と子音、リエゾン、リズムのすべてを真似ることによって、よりネイティブスピーカーに近い発音に矯正されていきます。
コンテンツ・シャドーイング
コンテンツ・シャドーイングとは、発音には目を向けず、英文の意味だけに集中して行うシャドーイングのことです。音声を聴いたのと同時に意味に理解することを目的としています。
注意点としては脳内で日本語に変換しないこと。あくまで英語のまま理解することでスピードアップに繋がり、より素早く話すことができます。
フレーズ・シャドーイング
フレーズ・シャドーイングとは、よく使われる定型文や言い回しだけに集中して行うシャドーイングのことです。覚えたいフレーズを自分のものにし、使える場面でスッと口に出せるようにすることを目的としています。
定型文のストックを増やすことで、英会話において考えて話す時間が大幅に削減するのでスピードアップに繋がります。
英語シャドーイングで身につく5つの効果
ここではシャドーイングがどういう効果をもたらすかを解説します。
【効果1】聞く力と話す力が同時に鍛えられる
シャドーイングは音声データを聞いてすぐに話します。そうすることにより、リスニング力だけではなく、日本人に弱い発音部分も鍛えられることができるので、ネイティブに伝わりやすい英語を話せるようになります。
ちなみに日本人は文字を読んで意味を理解するのは得意だが、音声を聴いて意味を理解するのは苦手。それは日本の学校教育が聴いて話すことを重視しなかったことに他ならない。
ならば、シャドーイングで音声と意味を結びつける練習をすれば解決するというわけです。
【効果2】会話スピードやトーンを学べる
実際の会話において「この場面ではどのくらいの会話スピードが適切か」「同じフレーズでも喜びや怒りを伝えるにはどのくらいのトーンで話せばいいか」がシャドーイングでいろんな音声を聴いてる内にわかるようになります。
【効果3】語彙力が強化する
単に単語を覚えるより、シャドーイングすることによるアウトプット効果によって、より語彙力を強化できます。また単語だけではなく、よく使われるフレーズや言い回し、スラングなどの定型表現も身につけることができます。
【効果4】使える英語が身につく
日本人は単語と文法の知識はあるが話すことができないと言われています。それは知識を使える状態にしていないから。
シャドーイングをすることで、あなたの頭の中でゆっくりと英語脳が作られていき、いずれは自然と伝えたい言葉が口から出てくるようになります。それが“英語を使える状態にある”ということ。
鍛えられるのはリスニング、スピーキングだけではない。リーディングでは英語の語順のまま読むことができるようになるので、ネイティブと同じスピードで読書やニュースが読めるようになります。
【効果5】正しい発音・イントネーション・アクセントが身につく
単語帳に発音記号があるのを見たことがあると思います。あれだけを見て、正しい発音を身につけた方はいらっしゃいますか?
残念ながら外国語大学を卒業した私の周りですらいません。たとえば発音記号がある関西弁で書かれた文字があるとして、それだけで関西人のようなイントネーションのある話し方ができるのかを想像してもらえれば分かりやすいと思います。
おそらく難しいと思います。
なぜなら、正しいアクセントは、正しい発音の音声を聴いて自ら発音しなければ身につかないからです。ですので、シャドーイングこそが発音習得の一番の近道なんです。
英語シャドーイングのメリット・デメリット
以下を参考にあなたがシャドーイングをするべきか判断できます。
リスニング力を強化できる
ネイティブスピーカーの発音に近づけられる
語彙力や表現力が増える
書籍代くらいしかお金がかからない
発音の弱点がわかる
英会話の自信がつく
1日の内、ある程度の練習時間が必要
外の練習だと他人に聞かれたら恥ずかしい
英語シャドーイングのおすすめ教材・アプリ
ここでは当サイトおすすめのシャドーイング教材・アプリをご紹介します。
【本】新ゼロからスタートシャドーイング 入門編
【初心者向け】
まずは単語のシャドーイングから始まり、次に短文→会話文→長文とステップアップできます。
また単語もビジネス、動物、気象、数字、政治経済などいろんな範囲をカバー。長文も難しい単語はなく、初心者でも自信が付きやすい構成になっています。
【本】決定版 英語シャドーイング
【初心者〜中級者向け】
とりあえず量が多い。3段階のレベル別に19本のトレーニングが用意されています。
大統領の演説、ネイティブ同士の会話、ニュース、俳優へのインタビューなど1冊で幅広いジャンルをカバーしています。また中級者あたりまでカバーされているので2冊目の本としては最適。
【本】CNNニュース・リスニング
【上級者向け】
アメリカのニュース専門チャンネル『CNN』が発刊しているリスニング教材。年に2回発刊されています。1冊に20本のニュース(1本30秒ほど)を収録しています。
一番のおすすめポイントは『ナチュラル、ゆっくり(ポーズ入り)、ゆっくり(ポーズなし)』の3パターンの音声を収録しているので、シャドーイングに最適なところ。値段も1,000円ほどでお得。
ちなみにAmazonだと商品ページで記事の目次が見れるので、気になる記事の号から買えばOKです。
【本】話す英語 実戦力徹底トレーニング
【ビジネス・上級者向け】
ビジネスだけではなく「大衆の前で話す」「スモールトーク」など107ものリアルな場面を想定して英文を収録しています。対象はTOEIC600点以上と上級者向け。
英語音声はもちろん日本語音声も収録されていたりと、スマホで聞きやすい構成になっているのも良いですね。
【サービス】シャドテン
シャドテンとは、超手軽にシャドーイングした音声を英語のプロが添削しているサービスです。
サービス内容はと言うと毎日課題が送られてくれるので、1日30分ほどシャドーイングして返送すると、英語のプロフェッショナルが具体的かつ詳細にアドバイスを返してくれます。このように添削による改善×継続学習により、学習者のリスニング力を確実に伸ばすことができます。
シャドーイングした上に音声の添削もしてくれるなら、発音とリスニング力が伸びないわけがありません。
さらに運営会社はコーチングで有名なPROGRITで、やりとりはすべてLINEで完結するので手軽で安心なのもGood。今年イチオシのサービスですね。
【アプリ】スタディサプリ
【初心者〜上級者向け】
スタディサプリとは、英語4技能(話す・聞く・読む・書く)を総合的に鍛えることができるリクルートが提供しているサービスです。
コースは新日常英会話、ビジネス英語、TOEIC対策、パーソナルコーチの4種類があり、すべてのコースでリスニング音声を聴いてシャドーイングができます。
さらにシャドーイングに必須の日本語訳や、音声の速度調節、一文字ヒントもあります。
ちなみにパーソナルプランではTOEIC問題を使ったシャドーイングもでき、プロの講師からの添削やアドバイスを受けることができます。
» スタディサプリEnglish【新日常英会話コース】公式ページを見る
» スタディサプリEnglish【ビジネス英会話コース】公式ページを見る
» スタディサプリEnglish【TOEIC対策】公式ページを見る
» スタディサプリEnglish【パーソナルコーチプラン】公式ページを見る
学生プランもあります。
» スタディサプリEnglish【小学・中学講座】公式ページを見る
» スタディサプリEnglish【高校・大学受験講座】公式ページを見る
【アプリ】TED
【上級者向け】
世界中の著名人の講演が聴ける「TED」もシャドーイングに適しています。YouTubeで観たことある人の方が多いと思いますが、実はアプリ版もあるんです。
それもアプリだと「日本語字幕で視聴できる」「15秒ごとにスキップが可能」などたくさんの機能が付いています。シャドーイングのトレーニングならYouTubeよりアプリの方がおすすめです。
» 『TED』をApp Storeで見る
» 『TED』をGoogle Playで見る
英語シャドーイングのやり方・効果・おすすめ教材まとめ
今回は英語シャドーイングのやり方・効果・おすすめ教材についてご紹介しました。
シャドーイングのことを聞いたことある人もない人も、この記事をキッカケにシャドーイングを始めて頂ければ、この上なく嬉しく思います。
ぜひ、シャドーイングでネイティブのような発音を身につけてくださいね!
・英語4技能の勉強法まとめとCEFRとは
・英語のスピーキングの勉強法・コツ・おすすめ教材とは
・英語のリスニングの勉強法・コツ・おすすめ教材とは
・英語のリーディングの勉強法・コツ・おすすめ教材とは
・英語のライティングの勉強法・コツ・おすすめ教材とは
●その他の勉強法
・英語のシャドーイングの勉強法・コツ・おすすめ教材とは
・英語のディクテーションの勉強法・コツ・おすすめ教材とは
・外大卒がすすめるTOEIC 800点を最短で突破する英語勉強法とは
ほかの英語学習に関しては「英語学習全般まとめページ」をご覧ください。