動詞には「自動詞」と「他動詞」の2種類があります。この2つの単語を聞いて「学生時代、動詞ごとに懸命に自動詞か他動詞か覚えた」という方も多いかと思います。
今回は自動詞と他動詞を覚えていない方の復習も兼ねて、以下の3つのお題についてご説明します。
・自動詞と他動詞の違い
・自動詞か他動詞かを見分ける方法
・自動詞と他動詞の違いを見分ければ、英語力はUPするのか?
目次
自動詞と他動詞の違い
まずは自動詞と他動詞の違いから。これらの大きな違いを一言で説明すると「動詞のあとに目的語を必要とするかしないか」です。
それでは一つ一つ見ていきましょう。
自動詞とは
自動詞とは、主語以外のヒト・モノに影響を及ぼさない動詞のことです。つまり、目的語がなくても文章が成り立つ動詞のことです。
なので「主語+動詞」だけで文章を構成することができるんです。
例文を見てみましょう。
(私は着いた。)
※「主語+動詞」だけで意味が成り立つ。
The doctor looked at his leg.
(医者は彼の脚を診た。)
※自動詞の場合、動詞の直後に目的語を置くことができないので、前置詞を置く必要がある。
注意点としては、自動詞は目的語を必ずしも必要とせず、「主語+自動詞」だけで成立しますが、上記の2番目の例文のように、自動詞のあとに目的語が続く場合には必ず前置詞が必要となり、「主語+自動詞+前置詞+目的語」の形になります。
他動詞とは
他動詞とは、主語以外のヒト・モノに影響を及ぼす動詞のことです。つまり、目的語がないと文章が成り立たない動詞のことです。
なので「主語+動詞+目的語」という3語で構成する必要があるんです。
ただし、例外的に目的語が省略される場合もあります。
例文を見てみましょう。
(私はバスケットボールをします。)
※「主語+動詞+目的語」という3語で構成されています。
I teach you English.
(私はあなたに英語を教えます。)
※「あなたに英語を」というように目的語を2つ取る他動詞もある。
He doesn’t smoke.
(彼はタバコを吸わない。)
※「smoke」という他動詞だけで「タバコを吸う」という意味が明確に分かるので、通常、目的語の「タバコ」は省略される。
注意点としては、基本的に他動詞は目的語を必要とし、最低「主語+自動詞+目的語」の3語が必要です。なかには目的語を2つ持つことができる特別な他動詞もあります。また他動詞自体が「〜に、〜と、〜を」といったニュアンスを含むため、前置詞はつきません。
自動詞と他動詞の両方の機能を備える動詞
実は、自動詞と他動詞の両方の機能を備えるマルチな動詞が数多く存在しています。
例文を見てみましょう。
(私は夕食を食べる。)
※「主語+動詞+目的語」という3語で構成されているため他動詞。
I eat a lot.
(私は大食いだ。)
※目的語がなくても意味が通じるため自動詞。
つまりeatには自動詞と他動詞の両方の機能が備わっています。このように1つの動詞には1つの機能だけしかないとは限りません。
自動詞か他動詞かを見分ける方法
英文を見て自動詞か他動詞かを見分ける方法
英文を見て、使われている動詞が自動詞か他動詞かを見分ける方法は、以下の3つを意識して見れば分かります。
【見分ける方法1】目的語はあるか
動詞の直後に目的語があれば、その動詞は他動詞として使われていることがわかります。
例文を見てみましょう。
(彼女はその博物館に入った。)
※動詞の直後に「the museum」という目的語があるため「enter」は他動詞だと分かる。
【見分ける方法2】前置詞はあるか
動詞の直後に前置詞があれば、その動詞は自動詞として使われていることがわかります。
例文を見てみましょう。
(私に賛成してくれますか?)
※動詞の直後に「with」という前置詞があるため「agree」は自動詞だと分かる。
【見分ける方法3】文章全体の意味
「通常の自動詞」と「目的語が省略されている他動詞」の場合は区別が難しく、文章全体の意味から推測する必要があります。
その動詞は対象に影響を与えているのか。与えているのであれば、目的語はあるのか。目的語がなければ、それは省略されているのか。といったことを考える必要があります。
例文を見てみましょう。
(理解しました。)
※目的語の省略されている他動詞。
He changed.
(彼は変わった。)
※通常の自動詞。
英文を作るときに自動詞か他動詞かを区別する方法
次に、自分で英文を作るとき、使う動詞が自動詞なのか他動詞なのか区別する方法についてです。
実は、自分で作る際に見分けるパターンはものすごく難しい。なぜなら、1,000以上もある動詞に対して、「この動詞は自動詞」や「この動詞は他動詞」と覚えることは合理的でないからです。
それでも区別する方法は、「動詞と前置詞のセットを熟語としてまる覚える」するのが一番手っ取り早いです。例えば、「look at」「listen to」「come to」などの動詞と前置詞のセットを何度も聞いたり、音読したりするとリズムで覚えられます。
自動詞と他動詞の違いを見分ければ、英語力はUPするのか?
「自動詞と他動詞の違いを見分ければ、英語力はUPするのか?」という問いに対する回答は・・・
自動詞と他動詞を見分けることは、英語上達の上でそこまで重要ではありません。
実際の英会話で、自動詞か他動詞か知ったところで特に意味はありません。ネイティブも意識していません。なので試験等で見分ける問題が出ない限り、英語を読んだり聞いたりしている時に「これは自動詞と他動詞のどっちなんだろう」と考える必要はあまりないと言えます。
ただし、動詞と前置詞のセットを熟語としていくつも覚えると、相手に言いたいことを分かりやすく伝えることができると言えるでしょう。
自動詞と他動詞の違いと見分け方まとめ
今回は自動詞と他動詞の違いと見分け方を説明しました。
学生時代、「これは自動詞。これは他動詞。」と一生懸命、動詞ごとに覚えた方もいっらしゃるのではないでしょうか?
でもそれは合理的ではないということがわかりました。それが分かっただけで今回の記事を読んだ価値はあります。
最終的には”慣れ”です。たくさんの英文を読み、聞き、話し、そして動詞ごとにどういった表現をするのか、慣れていくのが自動詞・他動詞対策の一番の近道です。
●より詳しい自動詞と他動詞の使い分けはこちらがおすすめ
ほかの英語学習に関しては「英語学習全般まとめページ」をご覧ください。