これからのITエンジニア・プログラマにとって英語は絶対習得すべき能力です。
では英語4技能(聞く、話す、読む、書く)の内、ITエンジニアにとって一番必要な能力はなにか?と聞かれたら、私は迷わず『読む力』と答えます。
他の能力も大事だけど、そもそも読む力がないと海外サイトから情報収集ができません。
海外にもニュースサイト、技術ブログ、テクノロジーメディア、リファレンス、アプリレビュー、Q&Aなど英語で書かれているサイトはたくさんあるんです。
それがもしリーディングができないと、ずっとちっちゃな島国日本の情報だけで仕事をしていくことになります。
これはかなり心もとないですよね。なので何はともわれ読む力をつけるべきでしょう。幸いリーディングは4技能の中で一番ラクに身につく能力です。
その読む力を効率的にマスターできる神本『現場で困らない!ITエンジニアのための英語リーディング』を今回ご紹介します。
この本の大事なところだけ要約して書評したので見ていきましょう!
目次
リーディングに必要な4つの柱
リーディングには語彙力、英文法、文章構造、専門知識の4つが必要と書かれています。
その4つを詳しく見ていきましょう。
【1つ目の柱】語彙力
どれだけ英単語を知っているかですね。
読解力の3分の2は語彙知識が占めています。そもそも英単語知らなきゃ文章読めませんよということです。
技術系の英語ドキュメントがスラスラ読めるレベルは約10,000語の語彙力が必要と言われています。
しかし日本だと高校卒業までに覚えるのは3,000語程度です。
なので独自で英単語を覚えていくしかありません。
それと同時に自分が読む種類のドキュメントで頻出する専門用語を覚えていくと効果的です。
またそれでもわからない単語は、辞書を引けば大丈夫です。
【2つ目の柱】英文法
読解力の3分の2は語彙知識でしたが、残り3分の1は英文法と文章構造が占めています。
またIT英語では独自の『省略』が頻繁に発生します。たとえば主語や目的語が抜けていたりと。
簡潔な記述が望ましいUI(ユーザー・インターフェース)やコミット・メッセージでよく見られます。
【3つ目の柱】文章構造
日本語でも医学書や学術論文をポンと渡されてもスラスラ読めませんよね?
それと同じで英語でもドキュメントの種類によって文章構造を覚えるとリーディングの手助けをしてくれます。
またディースコース・マーカーと言われる段落の冒頭で使われるワードを覚えることにより読みやすくなります。
【4つ目の柱】専門知識
英語ドキュメントを読む際に、その内容に関する背景知識があると理解が進みます。
IT関連のドキュメントなら背景知識はITの専門知識ですね。
この専門知識は英語で取得する必要はありません。
母国語の日本語で習得します。
その他テクニック
その他にすばやく読むための4つのテクニックも紹介されていました。
そのテクニックは、『英語語順での理解』、『スラッシュ・リーディング』、『スキャニング』、『スキミング』です。
英語語順での理解とは、リーディングする際、日本語の語順に並び替えず、英語の語順のまま理解するということです。日本語に訳す時間が無駄とのこと。
スラッシュ・リーディングとは、1語ずつ解釈するより、数語単位で意味を把握するテクニック。「句」や「節」で区切るといいとのこと。
スキャニングとは、ドキュメント全体から自分が欲しい情報だけを狙って読むテクニック。
スキミングとは、ドキュメント全体の要点だけを押さえて読むテクニック。目次で知ることもできる。
仕事でよく見かけるドキュメントの読み方
この本のメインディッシュです。
ここではITに関するドキュメントごとの文章構造や特徴を詳しく説明しています。
それでは一つ一つ見ていきましょう。
・テキストは短く、「省略」が頻繁に発生する
・ソフトウェアへの命令、ソフトウェアからの確認、指示、エラーを読み取る
・主語を省略し、同士から書き始める
・自動生成の固定表現も見られる
・概要と詳細という構成が多い
・用語は最初に定義される
・shallは義務、規則、禁止、mayは許可を表す
・同じ意味の単語重ねたり、大文字で書いたりして強調する
・カンマとセミコロンで区切りのレベル分けをする
・件名、頭語、本文、結語、署名という構成が典型的
・ITでは比較的カジュアルな表現が好まれる
・話し言葉、略した言葉、絵文字が多様され、スペルミスや文法ミスも
・ポジティブまたはネガティブな評価を読み取る
・「概要→詳細」という展開が一般的
・タイトルに注目して情報収集する。独特な書き方も
・名詞を別の表現で言い換えることがある
・タイトル、まとめ、見出しなどから内容を効率的に把握する
・下記慣れていない人の記事は読解に苦労することも
・コメント欄からも情報を得る
・目次と索引を活用して求める情報を見つける
・操作手順は命令形で簡潔に書かれている
・操作手順の見出しにはto不定詞や動名詞が使われている
・目次で全体像が把握できるようにしている
・助動詞で義務、禁止、推奨などを表現する
・用語集や索引も活用して理解を深める
・方法、定義、原因など、何のQ&Aかタイトルから想像する
・方法を尋ねる場合、状況説明に続いて質問内容が書かれる
・質問や回答の信頼性は得票数で推測する
英語ができない人のための必須ツール
ここで紹介してるツールを使うことでリーディングが楽になります。
辞書ツールのおすすめ
最初に引くなら「Weblio英和・和英辞典」。
特徴は、複数の英和辞典をまとめて検索できる、IT系の用語集も充実してるなどが上げられる。
Weblioになければ「英辞郎」。
収録語数が多いので、求める結果が得られる可能性が高い。
微妙なニュアンスを知りたければ「英英辞典(Oxford、Collins)」。
英英辞典は日本語の国語辞典の英語版。意味だけではなくニュアンスも分かる。
英語圏の最新情報を知りたいなら「Urban Dictionary」。
スラングのような新しい言葉も収録されている。ユーザーが新しい単語と意味を登録できる。
MS製品の対訳なら「Microsoftランゲージ・ポータル」。
ポップアップ辞書ツールのおすすめ
ポップアップ辞書ツールとはインストールすると、単語にカーソルを合わせるだけで、ポップアップで単語の意味をリアルタイムで出してくれます。
基本的なポップアップ辞書は「Weblioポップアップ英和辞典」。
英語以外の他言語にも使いたいなら「Google Dictionary」。
スマートフォンで使いたいなら「Google翻訳アプリ」。
語彙レベル・チェッカーツールのおすすめ
語彙レベル・チェッカーとは、これから読む英文にどのくらい難しい語彙が使われているかが分かるツールです。
語彙難易度が読む前に分かれば、心の準備ができます。
比較的使いやすいのは「The Oxford Text Checker」。
レベル別にパーセント表示させたいなら「Word Level Checker」。
仕事に使える英語サイト情報収集術
数多ある英語サイトから、無駄を省いて情報をうまく見つけるコツを解説しています。
Google検索で演算子を活用
ダブル・クォーテーションでひとかたまりにする。
ワイルドカードで幅を広げる。ワイルドカードにはアスタリスク(*)を使う。
ヒットしてほしくない言葉を除外する。含まれてほしくない言葉の前にマイナス記号(-)をつける。
ドメインを限定する。ドメインを指定するには「site:ドメイン名」と記述する。
ファイル形式を限定する。ファイル形式を限定するには「filetype:ファイル形式」と記述する。
気になる用語を辞書で調べても出てこなければ画像検索してみる。
的確な検索キーワードを活用
何かのやり方を知りたいときは「how to」をつける。
それが何であるか知りたいときは「what is」をつける。
エラーの原因を知りたいときは、エラーメッセージをそのままweb検索する。
その他、情報収集術
ニュースやブログの更新は「RSSリーダー」を使う。
自動的にweb検索して更新があったときに通知してくれる「Googleアラート」を使う。
リアルタイムな最新情報はSNSで探す。
ITエンジニアのための英語リーディングの要約・まとめ
いかがでしたでしょうか?
こちらの本は、ITエンジニア・プログラマとして役立つリーディング術が網羅されている書籍なので、海外からも情報を得たい方は必読の書になります。
あと、この本には他に「ライティングとリスニングで役立つテクニック」という章も収録されていたので、そちらも必見です。
ほかのIT英語に関しては「IT英語まとめページ」をご覧ください。